昭和中央土地区画整理組合は12月10日に、未納者の賦課金徴収の滞納処分を市に申請すると言っていますが、12月議会で新たな展開がありました。
まず釧路市は、現時点でという条件はつけましたが、「仮にいま、市に申請があったとしても釧路市が滞納処分をすることはむずかしいと判断している」と答弁しました。そのまま絶対視することはできませんが、組合が申請したとしてもダメと言われる可能性が濃厚です。
釧路市は、現時点の納付者数を見る限り、賦課金が組合員の理解を得ているとは言いがたい、滞納処分をするとしても時期は慎重に選ぶべき、滞納処分をするにしても対象者が多すぎると問題にしているようです。もちろん、申請があってのことですから、不確定の要素は多いのですが、組合に対して戸別訪問をしっかりやるよう指導したとも答弁しています。
さて、市が最終的に受託しなかった場合、組合が北海道の認可を得て、直接滞納処分を行うことができます。組合理事に「資産調査・差し押さえ」などの強大な権限が付与されることになります。
しかし、現実問題としてそんなことがトラブルなく可能でしょうか。たとえば組合が差し押さえをしようと思えば、事前に資産の調査をする必要があります。
・差し押さえで第一に考えられるのは預貯金です。組合が金融機関に対して、預貯金の調査などを行うのですが、釧路市が「資料を提出してほしい」と金融機関に求めたら、金融機関ははそれに従わざるを得ません。そこは公権力ですから金融機関が責任を問われることはありません。
それでは、民間団体である土地区画整理組合が行ったらどうなのでしょうか。まず、その申請が法的に問題ないかどうか、この点が検証されます。(組合の名を語って申請して、個人情報を聞き出す犯罪が考えられるので、その防止対策が必要です)次に、組合に渡った個人情報が、他に流用されない保障がどうなっているのか、この点のシステム構築が問われることになります。地方税の滞納処分の場合、個人情報流失には刑事罰が課されるのではなかったと思います。おいそれと、金融機関も返事はできないはずです。
・差し押さえの第2は給料です。組合員がどこの企業に勤めているか、組合は情報をもっているのでしょうか。持っているとしても、サラリーマンしか差し押さえはできません。商売の方の売掛金を差し押さえることは法的には可能ですが、え金年金収入しかない人は、年金については差し押さえそのものが法で禁止されていますので、差し押さえはできません。
・一番容易な差し押さえ物件は不動産・土地ということになります。不動産情報なら、少なくとも昭和中央地区の分については、組合は知っています。第三者から情報を得る必要がないからです。預貯金・給与と比べると差し押さえは容易ですが、実はこれが一番やっかいです。
多くはローンを組んで購入した土地で、すでに金融機関による抵当権が設定されています。こうした土地を競売・公売に付しても、金融機関にお金は流れるだけで、組合は債権を回収することはできません。事実、市も住民税で差し押さえをしていますが、不動産の差し押さえは現実にはなかなか実行できないと言っていました。(回収すべき債権の額と現実の資産価値に大きな開きがあることも一因のようです)差し押さえをしても、公売にかけるためには立ち退きを求める必要もあります。この民事訴訟もからむわけですから、個人的には一番手がけずらいのではないかと思います。
・釧路市はこのごろ、差し押さえと言うと軽自動車を狙い撃ちしています。軽自動車税の支払先は市ですから、市には情報があります。しかもタイヤロックをかけるだけですから、人手さえあれば簡単です。朝、通勤前に一斉にタイヤロックしています。そうすると、車が突然運転できなくわけですから、一斉に市役所に連絡が入って納付することになる(約束することになる)ので、効果は高いと言います。
いろいろな選択肢を考えているとは思いますが、こんなことを一民間団体が一斉にやれるでしょうか。自動車の保有者の情報をどう掴むのか、タイヤロックと言ってもただではありません。資材も器具も必要です。市であれば、継続的に差し押さえに必要ですから買い揃えることも可能でしょうが、組合の差し押さえは1回限り、資材も人材もあてはないと思います。
実際は相当高いハードルが待っています。そうであれば、強制徴収を匂わせて納付を迫るやり方をやめて、組合員の理解をえること、話し合いの場をもつこと、旧農協などの責任を追及すること、やるべきことはあるのではと思います。
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