縁あって、日本網膜色素変性症協会の仕事をお手伝いさせていただいています。母がこの病気で、私もちょっとその傾向があり、将来、その症状が出てきても不思議ないととお医者さんに言われています・・・・
釧路市で、年一回ほど講演会や交流会などをしています。今年も、9月27日、釧路市交流プラザさいわいにて、「講演を聞く会・交流会」を行いました。東京支部で、この病気治療の第一人者の高橋政代先生が行った講演をみんなで聞き、交流する予定でした。講演のCDを聞くはずが音が出ないというトラブル、急遽、参加していただいた方に、講演録を朗読していただくということになりました。
実は、この病気、有効な治療法はほとんどありません。病名がはっきりすれば「投薬」となりますが、先生によれば「多少、効くかなという程度。飲みたくなければそれでもいい」という具合です。だから、継続的な治療が必要という人は5%もぐらいなんだそうです。しかも、そうした人は網膜色素変性症以外の目の病気もあることがほとんどだそうです。視力や視野は、だんだん失われていきます。病気には様々なタイプがありますが、一般に病気の進行は遅いといわれています。先生は「治療よりも、上手に補助具を使いこなし、暮らしを支えていくことの方がとても大切ですと強調しました。でも、多くの患者さんは、病気を告げられると『失明しますか』『子どもに遺伝しますか』『治療法はありませんか』と必ず3つの質問をして、途方にくれるんだ」そうです。
失明と言っても様々な段階があります。矯正視力で0.1を下回ると社会的失明で定義づけられます。失明と言っても、真っ暗になるわけではありません。拡大読書器を使えば、読み書きも全く普通にできます。不自由はありますが、視力0.1ぐらいの人はたくさんいます。ただ、めがねをかけてもそれ以上の視力が出ないだけのことです。もちろん、それ以上に進む方もたくさんいますが、上手に付き合っていくことが大事と話されました。
遺伝性の病気という面でも、優性遺伝、劣性遺伝、伴性遺伝とあり、どの遺伝子に問題があるかで、遺伝するしないには大きな違いがあります。思いのほか、遺伝子の病気というのは多いものです。お医者さんの中では、怪我と感染症以外は全て遺伝子の病気と考える人もたくさんいます。こんなお話しを聞くと、正直ほっとします。
最先端医療として、網膜の再生や移植医療の研究も始まってはいます。しかし、よく見えるようになるという代物ではないようで、10年後、20年後に期待するという感じなのでしょうか。
どうしても釧路にいると病気の情報も、補助具の情報もあまり得られません。「黒いまな板があると、料理ができるのですが」という奥さんのお話もありました。実は、あるのですが釧路ではもちろん、どこでも売っていないし、あることすら患者には情報は伝えられていません。障害手帳を受けると1割負担で、これらの補助具が買えます。音声付の時計、音声付の体重計、さまざまあるのですが、「体重計はあるのに、台所用のはかりは音声付のものがあるのに、助成の対象になっていません。なんとかしてもらえたら助かります」というお話しもありました。食事は欠かせませんから・・・それにしても、みなさん前向きに生きています。仕事をされている方もたくさんいます。
「目が不自由になると勘と耳がよくなってくるんだよね。それと、道具も工夫して、普通に仕事しているよ」という方のお話には、本当に励まされました。なかなか、頻繁に顔合わせとはいきませんが、息長くつづけていきたい活動のひとつです。
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