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2018年5月16日 (水)

石巻市で宮城県の水産加工業の現状を視察しました

00020001 視察3日目は石巻市で、宮城県水産技術総合センターを視察、宮城県の水産加工業の現状をお聞きしました。またそのあと、新たな技術開発・普及の拠点となっている水産加工公開実験棟を見学しました。

〇地元水産物の加工
・宮城県の主な漁港・・・気仙沼、志津川、女川、石巻、塩釜
このうち、気仙沼、石巻、塩釜は特定第三種漁港に指定されている(全国13港のみ)
・震災以前の水産加工生産量は北海道に次いで全国2位・40万t、震災で10万tを下回ったが、その後は回復基調、現在は25万tを超え、全国3位まで復活、ただし回復テンポは緩やかで風評被害で韓国への輸出ができないなどの課題も残されている。練り製品、塩辛、塩蔵品などは宮城県の落ち込み分を他県が増産で補ったために、宮城県産は販路を失った格好になり、回復が厳しい。(かまぼこ生産は全国1位だったが、28年は全国3位)水揚げ減との関係も強いが、水産加工の原魚不足は深刻で、価格も高騰している。(アンケートから・・水揚げの回復の遅れ25%、原魚の価格高騰42%を課題として挙げている)

〇各地の水産加工品
・地元の魚を使った多様な水産加工業が発達してきた。
 気仙沼市 サンマ、ふかひれ、カツオなど
      昔からサメを使ったちくわ生産が盛ん、ヨシキリザメを使ったふかひれの加工
      いまはサメ肉を使った商品化もすすむ  ラーメン
      カツオは一本釣りは全国1位、サンマは県内一の水揚げ
 南三陸町 ギンザケの養殖が盛ん
※北米産のサケ、11月まで陸上の施設で20センチまで育て、その後、海のいけすで養殖、成長がはやく、脂が乗っている。日本では大半が宮城産の養殖もの。
 女川町  サンマ、ギンザケの水揚げが多い
      サンマの昆布巻き、練り物が有名
      県内では数少ないスリミ生産が行われ、他の加工産地に移出されている。
 石巻市  県内最大の水産加工基地、北洋漁業に依拠した練り物生産が伝統
      巻き網によるサバの水揚げも多い。ブランドサバ「金華サバ」。
      クジラもある。
 塩釜市  水揚げが大きく落ち込んでいる。練り製品(笹かま)

〇商品開発・販路拡大の取り組み
県内の水産加工業者は中小・零細が多く、民間だけでの商品開発は負担が大きい。震災による影響も大きいことから、以前から力を入れていた県としての商品開発・販路拡大にさらに力を入れている。しかし、震災の影響は大きく、県の水産技術総合センターの再建においても、民間事業者の再建を優先したこと、資金が不足していたこと(施設の大半が被災、建物の再建とともに機械はほとんど新規に買い替え)などもあって、規模の縮小、研究施設の無人化(実際は、その後、職員が常駐)など、困難もあった。

〇県として取り組んでいる第一の柱・・・技術支援
事業者からの相談に乗り、最新の機械を使用(使用量がかかるが被災企業は全額免除)することで、新たな加工品の開発、加工技術の普及をしている。水産技術総合センターで実験的に機械を使うことをきっかけに、民間事業者にその機械が普及することも多い。時には最新鋭機械の展示やデモンストレーションも行う。

〇県として取り組んでいる第二の柱・・・販路拡大
震災による販路の喪失の影響が大きく、販路拡大の支援部門を強化した。
 情報発信 データベースと直販所マップの作成
 みやぎ水産の日を制定 今月のサカナを月ごとに決めて、重点的に宣伝、企画
 水産加工販路共創加速化事業 グループをつくっての販路拡大に対して経費の一部補助
 様々な販路拡大のための民間事業者の取り組みに対する補助金の創設

Dsc_0094〇後継者・担い手対策
水産加工 従業員向け社宅新築・補修に対する助成
      外国人研修生が増えていることから効果的
     高校生・保護者対象の職場見学会
     webでの情報発信
     各地の水産加工研究会(若手経営者中心に地域ごとに組織)を母体に品評会、展示会の実施
漁業   漁業就業者向けの宿舎新設・補修補助金
     「みやぎ漁師カレッジ」
※漁業後継者やIターン向けに女川で7か月の研修
 実習 養殖・漁業実習、船舶免許などの取得
 座学 技術、法令などについての講義
 45歳までだが30代前半までが多い
 受講料は無料                    

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