« 昭和中央土地区画整理組合の賦課金、質問に答えて | トップページ | まずやるべきことは「異議申し立て」をすることではないでしょうか? »

2014年10月27日 (月)

土地区画整理法の問題点について

 土地区画整理法の問題点を知りたいとのコメントがありました。

 そもそも、土地区画整理事業というのは、農地や昔からの住宅地や商店街などで、利用価値の低い地域の街区を整理(都市計画道路を通して、道路を碁盤の目などに整理)して、土地の利用価値を高めるものをいいます。エリア一帯の道路、公園、下水道を整備しつつ、近代的な地域に作り替えるという公共事業です。

 一つ目。こうしたことから、そもそも利害対立が生まれやすく、極めて公共性の強い事業であることから、ヨーロッパでは国や地方自治体などにしか認められていません。それなのに、日本の場合は認可を受けた場合には民間でもこの事業ができることになっています。理由は、国・地方自治体にとっては安価な費用で、道路、下水道が整備できること、民間にとっては土地の値上がりによって大きな利益が期待されるためです。このように、民間に土地区画整理事業を担わせること自体が最大の問題です。

 二つ目は民間が、土地区画整理事業を行う場合、地権者・借地人全員を組合員とする組合がつくられます。反対があっても3/5(ごめんなさい、2/3でした)の賛成があれば設立可能です。この時点で、反対したものの強制的に組合員とされます。組合員でなくなるためには、土地を手放さなければなりません。そうすると新しい地権者がも同様に組合員とされます。この組合員の責任は、限定されたものではなく、組合が清算されるまで、無制限に責任が求められることになります。土地を新たに購入した人が賦課金を求められたのはその例です。しかも、このことは、組合員が次々、変わっていくのにそれがなかったかのように組合の運営は続きます。新しく土地を買った人は、賦課金はおろか、自分が組合員であることすら知らない人が多数います。説明のなかった場合や契約書に『仮換地』とか『清算金は買主に帰属」などの言葉だけがあった場合もあるようです。こうした言葉で全体像を知ることは不可能です。こうした、事情を知らない新組合員に、突然、賦課金が請求されることになります。

 三つ目。組合は債権者の合意がなければ組合を清算、解散することができません。つまり、銀行が了解しない限り、銀行への借金が残っているままでは、ずっと続けなければならないのです。倒産が認められていないということです。一度事業に躓くと、あとは相当に厳しい現実にさらされます。組合は保留地を売る以外の収入源はありませんから、たとえば地価が下がる、保留地が売れないとなれば、今回のような賦課金に頼らざるを得ないということです。

 四つ目。こうした組合でありながら、法律ではほぼ、公共団体のようなことができます。通常、債券を支払わない人に対しては、裁判所に申し立てたうえで差押えを行いますが、土地区画整理組合の場合①市町村に対して組合に変わって差押えするよう求めることができる②市町村が行わない場合、都道府県の認可を得て、組合理事が直接差押えができるとされています。裁判を経ずに組合の考えで、一方的に差押えができることを「自力執行権」と言い、税金の滞納の場合に行われるやり方です。今回の差押えが②に相当します。

 

 五つ目。組合はどんなに不正常な実態になっても、存続します。解散・清算が勝手にできないことから、仮に正規に役員が選任されなくなっても、従前の役員が留任し、業務を進めることが認められています。実際、定款では理事5人以上と決められていますが、3人が亡くなり、いまは二人しかいません。監事はひとりと思います。総会も数年開かれず、すでに事業の予定期間は終了していますが、何の正規の決定も経ないままに、今も続いています。

 

 土地区画整理組合は大きな問題をはらんでいますが、少なくとも地価が値上がりしているときには、経済的に破たんすることはありませんでした。役員による無駄遣い、使途不明金の発生などはあまたありましたが・・・・しかし、地価が下がる今日においては、土地区画整理組合が順調に事業をすすめられることはほとんどないと思います。ですから、全国で多くの組合が破たん、混迷しています。釧路市でも、鶴野、文苑第三などが漂流状態です。

|

« 昭和中央土地区画整理組合の賦課金、質問に答えて | トップページ | まずやるべきことは「異議申し立て」をすることではないでしょうか? »

市政と市議会」カテゴリの記事

コメント

だから、我々にどうしろって言うんですか?

投稿: 匿名 | 2014年10月27日 (月) 08時13分

三つ目~銀行の了承がない限り
五つ目~勝手に解散・清算ができない

とすると、賦課金は今回限りで済まない可能性もあるわけですよね?

大体、組合はどんな形の貸し付けを受けてるのかすらわからない状況で
今回の賦課金を支払ったところで、
もし利息返済のみに充てられるのならば
元金は減らないことに・・・
清算にいたるのかすら明言されていないと思われますが

やはり、清算・解散にいたる計画、決定が示されない中
泣き寝入りすら不安です

投稿: | 2014年10月27日 (月) 11時13分

はじめまして。
いろいろ調べて行きますと組合は全国的にずさんな管理をしているところが多いようなのですね。
組合員1/10の同意があれば帳簿の閲覧が出来るらしいのですが、これらを利用して適正な運営や私的流用がないかなどが行われていないか調査することは可能なのでしょうか?

また、法のもと知らなかったでは理由付けにならないと思われますが、組合設立時の所有者の方々は土地の値段も上がりそれなりな恩恵は受け人もいたのかもしれませんが、私たちはギリギリの生活でやっとの思いで自宅を建築したのにこの結果です。

多くの人は建築屋か不動産屋から購入したと思いますが、その場合、重要事項説明で説明することになっていますが、こう言ったトラブルが発生することは予見出来ることだと考えられますが、販売の際にしっかり説明するよう組合が指導するべきではないかと思うのですが、何故そのような約款はないのでしょうか?

どの業者に聞いてみても組合から積極的な販売依頼は無いようですがこれらについてどのように思われますか?

宜しくお願いします。

投稿: 匿名 | 2014年10月27日 (月) 12時33分

本日法務局と法律相談所に行ってきました
まず
法務局で登記事項証明書の発行を申請したところ
23日にある団体より昭和の土地で
数百件の差し押さえ権設定登記の申請が出され
只今競合中(処理手続きの事か?)のため
水曜日あたりまで発行出来ませんとの話しです

次に法律相談所に行ってきましたら
やはり
今回の件法律的に組合に何ら非は無しとの事
やはり知事認可がかなり効いているようです
心情的には組合に非は有るが法律とはそのような物です云々
不服申し立てしても
賦課金を払わなかった貴方が悪いとの事
強制差し押さえから競売処置は免れないそうです
最期の手段は競売の告示がなされた時点で入札参加して
自分の土地だった競売物件を買い戻す事だそうです

投稿: 匿名 | 2014年10月27日 (月) 12時52分

では、このまま組合が存続するかぎり、だらだらと又賦課金が発生する事もあり得ますね。その度に督促だの差押えだのきたらとても生活できません。


投稿: 匿名 | 2014年10月27日 (月) 16時14分

私たちは
このようにPCや携帯&スマホでネットワーク情報を得ることができますが
これだけの事件
どこの報道機関
新聞社もとりあげず情報源が無いまま
大半の地権者の皆さんは何がどうなっているのか
どう対処したらよいか耳目(じもく)をふさがれたのも同然だとおもいます

それこそが組合の思うところではと
思うままに事を進行させるために

聞くところでは
組合員有志による
賦課金を考える会とやら言う反組合団体が活動してるらしい噂を聞いたことが有るのですが?

今現在 彼の人達は何をなさっておられるでしょうか?

釧路市から昭和の土地の固定資産税の納付書が届いていますが
このような経緯で差し押さえ物件となり強制競売にかけられる事が確実な物件に税金を払うのも馬鹿馬鹿しく
支払い止めようと思います

今度は固定資産税滞納で釧路市から差し押さえ受けたりして(笑)

投稿: 匿名 | 2014年10月27日 (月) 17時27分

サラ金よりタチ悪ですね
佐藤正義さん

投稿: 匿名 | 2014年10月27日 (月) 21時47分

私は賦課金には断固反対ですし、多少の犠牲を払ってでも対立する覚悟です。勿論賦課金を考える会にも入会してます。しかし、2年前に転勤で苫小牧へ移住となり家は売却しました(賦課金については売主の私が保障する契約にしました)。先日「差押えをする」云々の案内が来、買主(現入居者)が不安で怯えてる!と仲介業者より連絡がありました。 私は組合に対立する覚悟はあるのですが如何せん離れた地に居り、現入居者にも迷惑を掛ける訳にもいかず弱気になってます。横暴でも組合の出方は合法的ならば・・・と諦めかけてますが、まだまだ立向かう術はあるのでしょうか?

投稿: | 2014年11月 6日 (木) 12時20分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 土地区画整理法の問題点について:

« 昭和中央土地区画整理組合の賦課金、質問に答えて | トップページ | まずやるべきことは「異議申し立て」をすることではないでしょうか? »