いのちの山河
映画「いのちの山河」を見てきました。岩手県沢内村の深沢村長をモデルに、日本で初めて高齢者の医療費の窓口払いをなくし、乳児死亡ゼロを実現するなど、「生命村長」と言われた村政を取り上げた映画です。主演は長谷川初範、その妻にとよた真帆というキャストです。
憲法25条の国民の生存権をタテに、県や厚生省とも対立しながら、節を曲げず、「命に格差があってはならない」「戦争で得られる幸せはない」と、憲法の理想を地方自治体に生かそうとする姿は感動を呼びます。
私も岩手の生まれですから、映画の貧しさは本当によくわかります。よく、岩手県のことを「日本のチベット」と呼びますが・・・・・・・・・・・私のふるさとは豪雪地帯ではありませんが、みんながこぞって出稼ぎをして、なんとか生計を立てているという実態でした。
映画は、私が生まれたのより、ちょっと前のことにはなりますが、医師にもかかれずに赤ちゃんが死んでいく、家族に気兼ねして年寄りは病気と口にも出せない、そんな貧しさがひしひしと迫ってきます。深沢村長は、村民との対話の中から、貧困、豪雪、病気の3悪を村から一掃することを決意します。その第一歩となったのが、医療費無料化政策です。保健婦さんの献身的な努力もあって、村は健康を取り戻していきます。一年間の村の予算の少なくない部分を使って、ブルドーザーを購入、除雪体制つくります。村長と一緒に村づくりを進めることで、「やればできる」との自信が村民に芽生えていく・・・・・・・。ぜひ、ご覧ください。
それと同時に、私は地方議員でもあるので、別な視点でも映画を見ていました。憲法9条が青年会の中で気兼ねなく語られ、県に圧力をかけられても、憲法を取り上げて反論する、医療費無料化の提案について議会で反対を言う議員が討論を通して次々態度を変えていく・・・・地方自治の精神が生き生きと芽吹いています。とくに印象だったのが、住民が日本で一番貧乏な村だから、なんとか貧乏をなくしたい、そう語るシーンです。
しかし、今はどうでしょう。率直に言って、国に不平は言うのだけれど、国と闘っても住民を守るという気概が地方自治体にあるのでしょうか。憲法や地方自治法の本旨がどう生かされているのでしょうか。確かに当時と比べると豊かになりました。しかし、自治の魂は、それに比して弱まっているのではないでしょうか。映画がとてもいい意味で、青臭く感じてしまう、いまの現実を考えざるをえません。もちろん、地方自治に携わる私たちの側の問題も多いのでしょう。そのことをじっくり考えてみたいと思います。
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