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2009年10月25日 (日)

倒産の心配のない企業が次々リストラ

 「派遣村、その後」という本を読んでいます。そのなかに、こんなくだりが出てきます。

「不況による経営危機で整理解雇というパターンじゃないのが、今回の派遣切りの特徴なんです。」(大須眞治中央大教授)

「国民が今日直面している失業多発はきわめて異常な性格を持っている。大量解雇の先頭に立っているのは、倒産の心配があまりない大企業である。」
 これまでの大量失業は、大量倒産と表裏一体でした。倒産→失業、あるいは倒産回避のためのやむをえない解雇、少なくとも日本の企業はその道をとってきました。仕事量が減ったからと言って、真っ先に労働者を解雇するのではなく、賃下げ、一時帰休など、労働者にも痛みはありましたが、解雇だけはなんとか回避したい、その努力は企業規模の大小にかかわらず、徹底して行われていたものです。

 しかし、今回は違います。株主配当をそのままに、あるいはリストラをしながら逆に株主配当をふやす・・・そうした企業が続出しています。「企業とは株主のもの」というアメリカ式経営が際限のない形で日本に持ち込まれたのです。しかも、もっぱら雇用の調整弁とされたのは、正社員ではなく非正規労働者です。

 労働者供給事業は、戦前のタコ部屋労働の経験から、長らく禁止されてきました。それが財界の要望で1985年、翻訳、通訳、速記などの業種に限って解禁されます。いずれも一般労働と比べると専門性が極めて高く、派遣労働であったとしても高賃金が期待される業種でした。それが1999年、製造業・建設業・警備などを除いて原則自由化されます。ここでも大きな問題を呼び起こすわけですが、決定的だったのは2003年、製造業の現場も解禁されたことです。

 多くの大企業は、製造ラインにいっせいに派遣労働を導入します。(一部には、不法な偽装請負を派遣労働に置き換えた)製造業の派遣は後発事業ですが、わずか数年で、100万人以上が製造ラインで働くことになります。大量の正規労働者が派遣に置き換えられたのです。確かに、派遣は3年働き続ければ、派遣先企業は直接雇用を申し入れなければなりません。しかし、率先して法を守る企業はありません。3年の期限切れを前に請負に代えたり、一時的に直接雇用したりして、再び派遣に戻す。大企業が率先して法違反を行い、いま、裁判闘争の矢面に立たされています。

 さて、話は戻りますが、
2009年3月の全産業の株主配当は総額で6兆円を超えました。03年3月では2兆500億円だったわけですから、驚くばかりです。この期間に労働者の賃金は毎年減少を繰り返してきたことは周知のことです。内部留保も自動車メーカー17社で01年15兆1073億円から08年には30兆6256億円と膨れ上がっています。トヨタ14兆円、ホンダ7兆円、日産4兆円・・・・途方もない数字が並びます。

 こうした株主配当、内部留保の原資は派遣労働による人件費の大幅カットです。この期間に大量に職場に配置された派遣労働者が、いまいっせいに派遣切りにあっています。別に解雇しないと経営が破綻するというわけではありません。減収以上に派遣を切って、利益・株主配当・内部留保を確保しようというのです。

 エコカー、エコポイントなどの大盤振る舞いで一部の企業の業績が回復してきました。それでも企業は、正規雇用を増やすことはせず、ふたたび使い勝手のよい派遣労働・期間工の採用で対応し始めています。全く反省がないとはこのことです。

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コメント

こんにちは。ブログ拝見しました。
とても興味深い記事をありがとうございます。
また伺いますのでよろしくお願いいたします。

投稿: とりぽす | 2009年10月25日 (日) 22時24分

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